BtoBマーケティングで問い合わせを増やしたいが、どのタイミングでどんな情報を届ければよいか分からない。記事、広告、資料、メール、営業フォローを行っているものの、施策が点で終わっている。こうした悩みがある場合は、カスタマージャーニーを設計することで改善の方向が見えやすくなります。
カスタマージャーニー BtoBで重要なのは、顧客の購買プロセスを一人の担当者だけで考えないことです。BtoBでは、情報収集をする担当者、比較する現場責任者、予算を判断する上長、稟議に関わる管理部門など、複数の関係者が意思決定に関わります。個人向けの購買よりも検討期間が長く、社内調整も発生します。
この記事では、中小企業の経営者やWeb担当者向けに、BtoBのカスタマージャーニー設計方法を解説します。購買プロセスの整理、関係者ごとの不安、接点とコンテンツの設計、営業連携、改善指標、90日で作る手順まで紹介します。
BtoBのカスタマージャーニーは購買プロセスから考える
このカテゴリを初めて読む方へ
「BtoB集客と購買プロセス」を体系的に進めるには、次の順番で読むと、自社の課題と次の行動を整理しやすくなります。
- BtoBのペルソナ設定方法|法人顧客を具体化して商談につなげる実践手順
- 中小企業のリードナーチャリング実践法|獲得した名刺を商談につなげる育成手順
- 法人向けウェビナーの開催方法|中小企業がリード獲得につなげる実践手順
- SFA導入を中小企業で成功させるには?Web集客と営業支援をつなぐ実践手順
- Googleアナリティクスで経営者が見るべき指標|現場任せにしないWeb改善の基本
あわせて読む:BtoBの購買プロセスに沿って施策を考える場合は、BtoBのペルソナ設定方法|法人顧客を具体化して商談につなげる実践手順、中小企業のリードナーチャリング実践法|獲得した名刺を商談につなげる育成手順も参考にしてください。
BtoBのカスタマージャーニーを作るときは、最初に顧客がどのような順番で検討するのかを整理します。いきなり広告や記事のテーマを考えるのではなく、顧客が課題に気づき、情報を集め、比較し、社内で相談し、問い合わせや商談に進む流れを見える化します。
一般的には、課題認識、情報収集、比較検討、社内共有、問い合わせ、商談、稟議、導入判断という流れが考えられます。ただし、すべての会社が同じ順番で進むわけではありません。緊急度が高い課題ならすぐ問い合わせることもありますし、予算が大きい案件では稟議や社内調整に時間がかかります。
中小企業が最初に作るカスタマージャーニーは、細かく作り込みすぎないほうがよいでしょう。まずは、自社の受注事例をもとに「最初にどんな課題があったか」「何を見て問い合わせたか」「商談前に何を不安に感じたか」「誰が最終判断したか」を整理します。実際の顧客行動から作ることで、机上の理想論になりにくくなります。
購買プロセスを見える化すると、施策の抜け漏れが分かります。情報収集段階の記事はあるが、比較検討に必要な事例が少ない。問い合わせ前の不安に答えるページがない。商談後に社内共有できる資料がない。こうした不足を見つけることが、カスタマージャーニー設計の第一歩です。
関係者ごとの不安と知りたい情報を整理する

BtoBでは、購買に関わる人が複数います。そのため、カスタマージャーニーを設計するときは、担当者一人の気持ちだけでなく、関係者ごとの不安や知りたい情報を整理します。
情報収集をする担当者は、まず課題の解決方法や選択肢を知りたいと考えます。専門用語が多すぎると理解しにくく、反対に一般論だけでは自社に合うか判断できません。この段階では、課題整理の記事、選び方、失敗例、よくある質問が役立ちます。
現場責任者は、実際に導入したときの効果や運用負担を気にします。導入後に現場が使えるか、業務が増えないか、既存のやり方とどう変わるかを確認したいはずです。ここでは、導入事例、運用イメージ、サポート内容、導入までの流れが重要になります。
経営者や決裁者は、費用対効果、リスク、他社との違い、投資判断の根拠を見ます。単なる機能説明ではなく、なぜ今取り組むべきか、どのような成果が期待できるか、どんな会社に向いているかを示す必要があります。
管理部門や稟議に関わる人は、契約条件、セキュリティ、支払い、導入期間、社内ルールとの整合性を確認します。BtoBでは、サービスに興味を持った担当者だけが納得しても、社内で進まないことがあります。関係者ごとの不安を先回りして整理することが大切です。
検討段階ごとに接点とコンテンツを設計する

購買プロセスと関係者の不安を整理したら、各段階で必要な接点とコンテンツを決めます。接点とは、検索、広告、Webサイト、メール、資料請求、セミナー、営業資料、商談、既存顧客からの紹介など、顧客が自社と触れる場所です。
課題認識や情報収集の段階では、検索記事や解説ページが有効です。顧客はまだ具体的な会社選びをしていないため、「何が問題なのか」「どんな解決策があるのか」「失敗しやすい点は何か」を知りたい状態です。ここでいきなり売り込みすぎると離脱しやすくなります。
比較検討の段階では、サービスページ、事例、料金の考え方、比較ポイント、導入の流れが必要です。顧客は複数の選択肢を見ています。自社の強みだけでなく、どんな会社に向いているか、逆にどんな場合は合わないかも示すと信頼につながります。
問い合わせ前後の段階では、よくある質問、相談後の流れ、初回商談で確認する内容、必要な準備が役立ちます。問い合わせへの心理的な負担を下げることが重要です。BtoBでは、問い合わせた後にしつこく営業されるのではないかという不安を持つ人もいます。
商談後や稟議の段階では、社内共有しやすい資料、導入事例、費用対効果の説明、導入スケジュール、契約条件の整理が必要です。担当者が社内で説明しやすい材料を用意することで、商談が前に進みやすくなります。
営業情報を使って実際のジャーニーに近づける
カスタマージャーニーは、マーケティング担当者だけで作ると現実からずれやすくなります。実際に顧客と話している営業担当者の情報を入れることで、より実務に近い設計になります。
営業から集めたいのは、顧客が最初に相談してくる課題、商談でよく聞かれる質問、比較される競合、受注理由、失注理由、導入前に不安視される点です。これらは、カスタマージャーニーの各段階に配置できます。
たとえば、商談で「費用感が分からない」と何度も聞かれるなら、比較検討段階に料金の考え方を追加します。「社内で説明しにくい」と言われるなら、稟議段階に社内共有用の資料を用意します。「導入後の運用が不安」と言われるなら、導入事例やサポート内容を強化します。
営業情報を使うと、Webサイトや記事のテーマも決めやすくなります。顧客が本当に悩んでいることに答えるコンテンツを作れるため、一般論だけの記事から抜け出せます。BtoBのカスタマージャーニーは、営業現場の言葉を反映して初めて使えるものになります。
カスタマージャーニーを施策に落とし込む
設計したカスタマージャーニーは、図にして終わりではありません。各段階で必要な施策へ落とし込みます。どの記事を作るのか、どのページを改善するのか、どの資料を用意するのか、どのタイミングで営業がフォローするのかを決めます。
最初は、すべての段階を完璧に埋める必要はありません。問い合わせや商談に近い段階から整えると成果につながりやすくなります。たとえば、サービスページ、事例、よくある質問、問い合わせ後の流れを先に整える。そのうえで、情報収集段階の記事やメール配信を追加していくとよいでしょう。
施策に落とし込むときは、担当者と期限を決めます。記事制作は誰が進めるのか、営業情報は誰が集めるのか、ページ改善は誰が確認するのか、公開後の数字は誰が見るのか。役割が曖昧だと、きれいな設計図だけが残って実行されません。
また、カスタマージャーニーごとに優先順位を付けます。問い合わせ前の不安が大きいなら、よくある質問や相談後の流れを優先します。商談後に止まりやすいなら、稟議用資料や導入事例を優先します。数字と営業の声をもとに、詰まりやすい段階から直していきます。
改善指標は段階ごとに分けて見る

カスタマージャーニーを改善するには、段階ごとに数字を見る必要があります。全体の問い合わせ数だけを見ると、どこに問題があるのか分かりません。情報収集、比較検討、問い合わせ、商談、受注のどこで止まっているかを確認します。
情報収集段階では、記事の閲覧数、検索流入、滞在時間、関連ページへの移動を見ます。比較検討段階では、サービスページ閲覧数、事例ページ閲覧数、資料請求数、問い合わせページへの遷移を確認します。問い合わせ段階では、フォーム完了率、問い合わせ内容、初回返信までの時間が重要です。
商談段階では、商談化率、失注理由、受注理由、商談で使われたコンテンツを確認します。BtoBでは、Web上の数字だけでなく、営業現場の反応も改善材料になります。記事を読んだ顧客が商談で質問してきたか、事例が社内共有に使われたかといった情報も大切です。
数字を見る目的は、責任追及ではなく改善です。閲覧数は多いのに問い合わせが少ないなら、導線や訴求を見直します。問い合わせはあるのに商談化しないなら、フォーム項目や初回対応を確認します。商談後に止まるなら、稟議用資料や費用対効果の説明を強化します。
BtoBのカスタマージャーニーでよくある失敗
よくある失敗は、自社が伝えたい情報だけで設計することです。機能、実績、強みを並べても、顧客の検討段階と合っていなければ届きません。顧客がその時点で知りたいこと、不安に感じていることから逆算する必要があります。
次に多いのは、決裁者や稟議の存在を忘れることです。担当者が興味を持っても、上長や管理部門が納得しなければ進みません。費用対効果、導入リスク、契約条件、社内説明用の資料を用意しておくと、検討が止まりにくくなります。
また、図を作っただけで満足してしまう失敗もあります。カスタマージャーニーは資料としてきれいに作ることが目的ではありません。記事、ページ、資料、メール、営業フォローへ落とし込み、数字を見ながら直していくための道具です。
細かく作り込みすぎることにも注意が必要です。最初から複雑なペルソナや分岐を作ると、運用できなくなります。中小企業では、まず代表的な顧客パターンを一つ選び、実際の受注事例をもとにシンプルに作るほうが続きます。
設計時には、社内で確認する質問を決めておくと進めやすくなります。顧客は最初にどんな言葉で課題を話すのか。問い合わせ前にどのページを見ているのか。商談で必ず聞かれる質問は何か。社内稟議で止まる理由は何か。受注した顧客は、最後に何を評価して決めたのか。こうした質問に答えるだけでも、必要な接点やコンテンツが見えてきます。
また、カスタマージャーニーは一つだけとは限りません。新規顧客向け、既存顧客の追加提案向け、過去失注先の再検討向けでは、必要な情報や営業フォローが変わります。ただし最初から複数作ると散らかりやすいため、まず売上につながりやすい代表パターンを一つ選び、そこから横展開するのが現実的です。
カスタマージャーニー BtoBを90日で作る手順
最初の30日では、受注事例と失注事例を棚卸しします。どんな課題から相談が始まり、どのページや資料を見て、商談で何を確認し、誰が最終判断したのかを整理します。営業担当者から、よくある質問、受注理由、失注理由も集めます。
次の30日では、購買プロセスと必要コンテンツを整理します。課題認識、情報収集、比較検討、問い合わせ、商談、稟議、導入判断の流れを作り、各段階で必要な記事、サービスページ、事例、よくある質問、営業資料を洗い出します。足りないものには優先順位を付けます。
最後の30日では、問い合わせや商談に近い部分から改善します。サービスページ、事例、問い合わせ導線、相談後の流れ、稟議用資料など、成果につながりやすい箇所を整えます。そして、問い合わせ数、商談化率、失注理由、営業で使われた資料を確認し、次の改善へつなげます。
BtoBのカスタマージャーニーは、一度作って終わるものではありません。顧客の検討行動、社内稟議、営業現場の反応は変わります。だからこそ、営業とマーケティングが同じ購買プロセスを見ながら、接点、コンテンツ、フォローを少しずつ改善することが大切です。顧客の動きを見える化できれば、施策は点ではなく線になり、問い合わせから商談、受注までの流れを育てやすくなります。
関連する記事
次に読むと、Web集客と営業改善の全体像をより深く理解できます。

